会議やミーティング、取材、電話対応など、ビジネスシーンではさまざまな音声を保存することがあります。音声ファイルのままでは資料として扱いにくいため、テキスト化する必要がありますが、それには人が聞いて内容を書き起こしたり、音声認識ソフトを使ったりして内容をテキスト化するなどの方法があります。 効率的に音声をテキスト化するにはどの方法が良いのでしょうか。ここでは、音声をテキスト化する際の方法とその比較、および活用法について説明していきます。
この記事の目次
音声をテキスト化する方法は?
音声をテキスト化するには、人間が音声を聞きながらテキストをパソコンに打ち込む、いわゆる文字起こしという方法と、音声認識ソフトを利用して内容を識別し自動的にテキスト化する方法の大きく2種類にわけられます。
音声認識ソフトの登場当初、音声認識の精度はあまり高くなかったといわれています。そのため、自分で打ち込むか、テープライターと呼ばれるスペシャリストに外注するか、のどちらかで文字起こしをおこなう場面が多くありました。
まずはそれぞれの特徴についてみていきましょう。
自分で打ち込む(手作業)
音声データを聞きながら、自分で打ち込んでテキスト化する方法です。フリーソフトの文字起こしツールなどを活用することで多少効率化することができますが、文字起こしに慣れていない人が打ち込みをしたり、録音状態が悪かったりした場合、また話している人数が多い場合などは、録音時間の5倍以上掛かることもあるといわれています。そのため、時間効率が良いとはいえないこともあるでしょう。
また作業者の人件費が掛かるため、頻繁におこなう場合は人的リソースを含めたコストについてもよく検討する必要があります。
外部発注して作業してもらう
自分で打ち込む以外では、音声データをテキスト化するプロフェッショナル、テープライターに外部発注して文字起こしをする方法もあります。テープライターに発注する場合、単純な文字起こしだけでなく、すべての内容をそのままに書き起こす「素起こし」、「えー」「あのー」などの意味を持たない言葉を削除する「ケバ取り」、文章を整理し読みやすくする「整文」など、用途に合わせた仕上げで依頼することができます。
しかし、素起こし以外は、テープライターの技量によってクオリティが変わってきてしまうという点に注意が必要です。また、60分のテープをテキスト化するのに数日掛かる場合もあり時間的な制約もあります。その他、60分を超える専門性が高い内容の音声の場合、費用も数万円になることがあり、自分で打ち込む以上にコストを気にする必要があります。
このように従来の方法の場合、時間とコストの2点に注意する必要があります。それでは、一方の音声認識ソフトの場合はどうでしょうか。
外部発注して作業してもらう
音声認識ソフトは音源となる音声データを読み取り、ソフトウェアが内容を判断して文字化します。文字化の精度は録音状態と音声認識の能力によって変わります。音声認識ソフトの登場当初は音声認識の精度が低く、専門用語、略語に対応できないものもあり、実用に耐えないような誤変換が多いテキストになってしまうこともしばしばありました。
しかし現在は、多くの言葉のデータを保存できるクラウド化されたライブラリを使用するなどの技術的進化を遂げ、最新の専門用語などに対応した変換精度が高い音声認識ソフトも多くなっています。さらにディープラーニングによってより会話内容に沿った柔軟で正確な変換が可能なソフトも増えてきました。AIを搭載するなどした高度な音声認識エンジンを持つソフトであれば、人間が手作業でテキスト化するよりも圧倒的に速く正確な作業を可能にするでしょう。
このように、進化した音声認識ソフトは音声をテキスト化するうえで特に時間効率が良い場合が多く、また、頻繁に使う場合はコストも低く抑えられる可能性があります。
音声認識ソフトをしっかり活用するためのポイント
現在は正確でスピーディーなテキスト化が可能になった音声認識ソフトですが、やはり人間が聞き取ってテキスト化する時と同様に、音声データの録音状態によって音声認識の精度が左右されてしまう部分があります。例えばプレゼンや会見などあらかじめシナリオが用意されている内容は高精度な文字起こしが可能ですが、会議でのブレスト、雑談といった話し言葉が多く発生する場面では、大きく精度が下がる傾向があります。
また、テキストを見直して修正する際、音声データ上で該当する音声がどのタイミングで入っているのかがわからないと、編集作業が大変になってしまいます。
そこで、音声認識ソフトをしっかり活用するためにはどのような録音をすると良いのか、また、テキスト化にはどのような点に気を付ければ良いのかをご紹介します。
マイクの選定と使い方に気をつける
環境を整えることで、音声の解析精度が向上します。まず、マイクはできるかぎり参加者ごとに一つずつ用意して、単一指向性マイクやビームフォーミングマイクなど、話している人の声をよりクリアに拾うマイクを選定すると良いでしょう。
また、マイクには適切な距離があるためり、人数や使用するマイクによって設置位置が異なります。おおむね10cm~15cmを目安に近づけすぎず、かつ離しすぎない位置で使用してください。
ピンマイクを利用する場合は、襟につけたあと一度音声が拾えているか確認したほうが良いでしょう。またスマートフォンで録音する場合は、マイク部分が中央になるように設置します。スマートフォンのマイクの多くにはビームフォーミング技術が採用されているため、発言者の中間に置くことで話者の音量が強い方をより明瞭に録音します。
話し方
- 会話が重ならないように気をつける
声が重なり合うと音声の解析に支障が出やすくなります。会話が重ならないよう、一人ずつ順番に発言し、他の発言者の発言が終わって一拍間を置いてから次の発言をすると良いでしょう。 - 明瞭な発音、適度なスピードを意識する
解析ソフトが発言の開始と終了を識別しやすいよう、話し始めと語尾は特に丁寧に発音します。また、「き/く/し/す/ち/つ/ひ/ふ/ぴ/ぷ」などの無声子音(声帯振動を伴わない子音)を含む言葉は、テキスト化の際に誤認識されやすいため、発音に注意が必要です。極端に早口だったりおそすぎたりすると誤変換されてしまうため、適度なスピードを心がけましょう。 - 指示語の使用を控える
こそあど言葉のような指示語はの使用は、できるだけ控えましょう。正しく解析しても理解できない文章になります。
音声データと組み合わせる
会話や発言の一定のタイミングが、それぞれ何分何秒の発言なのかメモを残すことは大変です。
そこで、テキストと該当する音声が連動して一緒に保存できるタイプの音声認識ソフトを利用するのがおすすめです。
その機能を備えた音声認識ソフトであれば、気になったテキストが音声データ上の具体的にどこなのかすぐに見つけやすく、編集も容易になるでしょう。
音声認識ソフトの比較ポイント
現在、音声認識ソフトはさまざまな種類が発売されています。それぞれに得意分野や特徴があるため、以下からは、自分の目的にあったソフトを選ぶにはどのようなポイントに注目すれば良いのか比較ポイントをご紹介します。
音声認識の精度を比較する
最も大切なポイントは、精度の高い音声認識ができることです。利用するソフトによって、音声認識エンジンのアルゴリズムやAI学習データ、音声認識用のライブラリ(ソフトが保有する変換候補の言葉のリスト)は異なります。音声認識は優秀でもライブラリによっては専門の用語に対応できない可能性もあります。
そこで、比較・検討している複数の音声認識ソフトを、できればトライアルを活用して同じ音声ファイルの認識精度を確認したほうがいいでしょう。
クラウドやマルチデバイスの対応を確認する
特定のPCや端末でしか利用できないと、活用の場が限られてしまいます。特に迅速な展開が必要になることもあるビジネスシーンでは、クラウドに音声とテキストデータを保存して社内に共有したり、スマートフォン上の作業をPCで確認したり、逆にPCで編集したものを移動中にタブレットなどで確認できるマルチデバイス対応のものがおすすめです。
またクラウドを通してデータのやり取りができるかどうかも確認ポイントです。クラウドにデータをためていくことができる場合、スマートフォンで録音したデータをクラウドにアップし、その後PCで作業するなど作業効率が向上します。音声認識ソフトを頻繁に利用する場合、作業効率は重要なポイントになるためきちんと確認しておきましょう。
セキュリティの面にも注目する
クラウドにデータを保存して変換するサービスの場合、個人情報などを含むデータをオンラインのサーバーに預けることになります。そこで、データ漏洩の心配がないか、セキュリティ対策の説明がきちんとなされているかなど、セキュリティ面での対応がしっかりしているサービスであることを確認しておきましょう。
オプション機能が豊富であるか
音声認識ソフトには、それぞれオプション機能が備わっています。利用するうえで特に役立つ「自動要約」、「固有名詞や専門用語の自動抽出」、「辞書登録」、「フィラー(「えー」「あー」といった意味の理解に不要な挿入語)の検出と除去」などの機能がしっかり網羅されているのかを確認するといいでしょう。
コスト
音声認識ソフトにはさまざまな販売形式があります。音声ファイルのテキスト化をおこなう頻度や数を踏まえ、ツールの利便性や付随するサービス、機能などを含めて導入や継続に掛かる費用をよく検討しましょう。
また現在テープライターに発注していたり、自分で文字起こしをしている場合、その人的工数を含めたトータルのコストを計算し、検討中の音声認識ソフトのコストと比較しましょう。コストは費用としてお金が出ていくだけではありません。社内工数などもきちんと計算に入れることで、音声認識ソフトの価値を正しく評価できるようになります。
おすすめの音声認識ソフトは?
「OPTIM AI Voice Recorder」はユーザーが保存した音声を、クラウド上にあるOPiM Cloud IoT OSを通してビッグデータとデータストアをもとにAIが認識し、テキスト化します。
クラウド上に保存しておくことができ、必要になった時にすぐに再生・テキスト化できるため、コストを低く抑えながら必要時に迅速にテキストを用意することができます。
また、音声とテキストが連動しているため、精度が悪かった部分の編集も簡単におこなえ、共有しやすいなどの特徴も持っています。
またマルチデバイスに対応しており、専用アプリによってスマートフォンで録音した音声をテキスト化し、PCで編集することができるなど、作業効率を向上させてくれます。
おわりに
AI技術が発達したことで大きくエンジンが進化した音声認識ソフトは、録音環境を整えてハッキリと声が聞き取れる録音状態の音声であれば、人の手でテキスト化するよりも迅速にテキストに変換してくれます。音声認識ソフトは、クラウド技術を活用してマルチデバイスに対応したサービスも多く、さまざまなサービスが展開されています。音声認識ソフトを選ぶ時は、変換精度が高くライブラリが豊富であるか、月々のコストに無駄はないか、必要な機能を持っているか、予算内であるかなどを考慮し、導入を検討するのがいいでしょう。