AI画像解析 – 人工知能を使った画像解析と映像解析でできること

AI画像解析 - 人工知能を使った画像解析と映像解析でできること

「画像解析・映像解析」と聞くと、難しい技術のように感じるかもしれません。しかし実際には、スマートフォンやデジタルカメラで写真を撮る際の顔認識、検索エンジンの画像検索など、意外に身近なところで活用されているものです。そこで本記事では、この画像解析・映像解析に関する基礎的な知識、そしてAI(Artificial Intelligence:人工知能)の登場でさらに拡大している活用例などをご紹介しましょう。

画像解析の活用方法は多種多様

 画像から必要な情報を抽出し、統計的なデータを得る「画像解析」。1990年代にPCが普及してきた頃から取り組みが本格化し、多種多様な分野において活用されてきました。たとえば、天文写真からの新天体発見、航空写真や衛星写真を用いた観測情報の統計化、医療画像による診断、事件・事故に関する調査および証拠、身近なところでは画像から文字を読み取る「OCR(Optical Character Recognition:光学的文字認識)」、指紋・虹彩・顔認証をはじめとする各種生体認証システムなども、画像解析の活用例といえます。

進化するAIで画像解析が変わった

 画像解析は、まず必要な情報が抽出しやすいよう、ノイズ除去や強調などの画像処理を実施。その画像に対して、マスクを用いて必要な部分と不必要な部分にセグメンテーションします。こうして2値化された画像に「モルフォロジー演算」と呼ばれる画像処理を行った後、領域解析によって統計的なデータを得る、というのが一般的な流れです。

解析する前の写真
元の画像
AIを使って解析した後の写真
セグメンテーションされた画像

参照:http://host.robots.ox.ac.uk/pascal/VOC/voc2012/segexamples/index.html

 PCが普及した現在、画像の処理自体はPCが行ってくれます。しかし、PC側では画像になにが写っているのかが判断できないため、その前処理として人の手により対象物を指定する工程が必要です。この前処理工程によって、PC側では単なるピクセルの集合体から意味ある情報を抽出できるようになるわけですが、一方でこうした前処理工程には手間や時間がかかりますし、処理が増えるほどミスも発生しやすくなります。そこで近年注目されているのが、AI(Artificial Intelligence:人工知能)を用いた画像解析です。

 AIを用いた画像解析では、人間が事前にアルゴリズムを設定しておくだけで、「機械学習」によってAIが前処理から最終的な解析までの各工程を一貫して処理できるようになります。たとえば顔を認識させる場合、目/鼻/口の位置や形など“特徴点”となる部分が抽出できるように設定しておけば、あとはPC側で背景と顔の判断を行ってくれるわけです。

 さらに、人間側でこうした特徴点の抽出指示を行うことなく、AIが画像データから自動で特徴点を見つけ出してくれるのが「ディープラーニング」です。このディープラーニングには、一定量のデータさえあれば機械学習と比べて大幅に処理時間を短縮でき、なおかつ人間側の手間が削減できるという強みがあります。このように画像解析は、進化するAIによって劇的な変化を遂げているのです。

AIを使った画像解析はスモール・スタートが鍵!

カメラ1台から利用開始できる「OPTiM AI Camera」。手軽にAIを使った画像解析を始められます。業種に合わせて、さまざまな使い方が可能です。

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 ここまでは画像解析を例に、AIがもたらす効果についてご紹介しました。映像解析に関しても、処理に用いる細かい手法や技術こそ異なりますが、同様にAI活用で大きなメリットが得られます。

拡大するAI画像解析の活用例

 それではここから、AIを用いた画像解析・映像解析の具体的な活用事例についていくつかご紹介しましょう。

実例1:駅に設置したカメラから人/電車/黄色い線(線上ブロック)を解析

 公共交通の中でも、より多くの人が利用している電車。通勤・通学のピークとなる時間帯には、駅のホームが乗客であふれかえることも少なくありません。そうした中、ホーム端を千鳥足で歩く泥酔状態の人を見かけたり、人ごみに押されてホームから転落しそうになったりと、ヒヤッと感じた経験はないでしょうか。ホーム上には安全の目安として黄色い線(線上ブロック)が設けられていますが、時としてそれを越えてしまうことがあるのも事実です。

 そうした中、オプティムが提供するAI監視カメラサービス「AI Physical Security Service」を用いて、より安全に駅を利用してもらう取り組みが行われています。この「AI Physical Security Service」は、AI・IoTプラットフォーム「OPTiM Cloud IoT OS」上で動作しており、ネットワークカメラなどで撮影されている映像をAIがリアルタイムで監視。異常検知時のアラート表示や、管理者へのアラートメール送信を行えるものです。具体的には、指定したエリアへの侵入を検知する「侵入検知」、酔っ払いや不審者など異常行動者を検知する「異常行動検知」、要救助者などその場に留まっている人や物体を検知する「滞留検知」、徘徊などの不測事態や子供の体調などの温度による状態を検知する「見守り検知」、顔認識や人物特定で防犯や顧客モニタリングを行う「人物識別」といった機能を備えています。これらの機能を活用することにより、たとえばホームに設置したカメラの映像から電車/乗客/黄色い線(線上ブロック)の位置関係をリアルタイムに解析し、異常が発生した時は駅構内のオペレーターへ通知。駅員がすぐに駆けつけることで、事故やトラブルを未然に防止できます。また、現在は複数のモニター映像を目視で確認している、オペレーターの業務負担を軽減できるのもメリットのひとつです。

佐和駅での危険エリアへの侵入検知
JR東日本水戸支社管轄の常磐線 佐和駅
佐和駅での危険エリアへの侵入検知
危険エリアへの侵入検知

参照:https://www.optim.co.jp/news-detail/37308

 実際に2017年10月10日からは、JR九州香椎線の和白駅および、筑豊本線の二島駅において実証実験が行われ、安全性向上とオペレーター業務の負担軽減に対する効果が確認されています。

実例2:ドローン映像の解析による病虫害防除と生育管理

 世界でも有数の農業大国として知られる日本。しかし、そんな日本の農業も、少子高齢化による労働人口の減少と継承者不足、長年培ってきたノウハウの暗黙知化、農産物の価格下落や生産量の減少に伴う所得の低下、新規就農に関するハードルの高さ、そしてTPP(Trans-Pacific Partnership:環太平洋パートナーシップ協定)による影響など数多くの課題に直面しており、農業の持続性確保が年々難しくなってきています。こうした状況の打開に向けて近年注目されているのが、AI/IoT/ロボットなどの最先端技術を活用し、農作業の負担軽減や農作物の収量、品質の向上などを目指す新しい農業の形「スマート農業」です。

 スマート農業の具体例としては、大豆の生育管理においてドローンを使い、病害虫が検知された箇所のみにピンポイント農薬散布を行う取り組みが挙げられます。これは「OPTiM スマート農業ソリューション」を活用したもので、まずドローンが自動飛行で空中から大豆畑全体を撮影。その映像からAIが害虫位置を特定し、ドローンが自動飛行でピンポイントに農薬散布を行うものです。2017年に実施した実証実験では、大豆畑に対して全面農薬散布を行う通常栽培と比べて、農薬使用量が10分の1以下にまで減少。さらに、残留農薬量の低下、収穫品質の向上、労力・農薬コストの削減といった効果も確認されました。

農業で使われている画像解析
AIによる画像解析で病害虫の発生を検知

実例3:AIによる眼底画像の診断支援

 画像解析は、人々の命を救う医療分野でも活用されています。その具体例が、佐賀大学とオプティムが未来型医療の共同研究を推進するべく、2016年に包括的な連携で設立したメディカル・イノベーション研究所の取り組みです。

 同研究所が取り組んでいる研究テーマのひとつに、AIを用いた眼底画像の診断支援があります。人間の目は、皮膚の切開や開口部への器具挿入などを必要とせずに血管の構造が分かるため、眼科検診だけで診断が可能な疾患も存在します。しかし、早期発見・治療により視覚障害や失明を防げる一方で、医師の作業負担が大きい、医師の診断能力にばらつきがある、専門医の地域格差が存在する、といった事情から治療介入の遅れによって症状が進行してしまう課題も抱えていました。

 こうした課題に対して、臨床画像データをAIに画像解析させることで、緑内障/糖尿病網膜症/加齢黄斑変性の早期発見・治療を目指すのが、同研究所の取り組みです。具体的には、佐賀大学が保有する過去の臨床画像データと診断結果を匿名化した上で、臨床ビッグデータとして「OPTiM Cloud IoT OS」に集積。

AIを用いた眼底画像解析で課題を解決
AI医療用画像診断支援サービス

AIでディープラーニングによる機械学習を行うことで、その推論から診断支援を実施します。この取り組みは現在でも進められており、将来的には眼底画像から心筋梗塞/脳血管障害/アルツハイマー型認知症など新たな疾患の発症予測や、モバイル機器による簡易診断で早期発見を行うといった、新しい眼底診断・治療手法の創出も進められる予定です。

実例4:AIを活用した画像解析によるリアルタイム空席検知

 各種アミューズメントや飲食店、セミナーをはじめとしたイベントなどでは、いかに“空席”をなくせるかが重要なポイントといえます。従来から空席を検知できるシステムは存在しましたが、その多くは席ごとにセンサーやカメラを設置する必要があるため、導入コストやシステムの煩雑さといった観点で導入のハードルが高いものでした。

 こうした課題を解決するべく、オプティムが開発したのが、AIを活用した画像解析によるリアルタイム空席検知サービスです。同サービスでは、席が見渡せる位置にネットワークカメラを1台配置するだけで、その映像からAIが空席状況を判断。

AI画像解析を使って空席を見つける
AIを活用した画像解析による空席検知のイメージ
席の利用状況
リアルタイム空席検知イメージ

さらにTwitterと連携し、リアルタイムに空席状況をつぶやく機能も備えています。これにより、飲食店や店舗の待ち時間解消および集客につながるほか、スタッフの手間を削減する効果も得られるわけです。

AIを使った画像解析はスモール・スタートが鍵!

カメラ1台から利用開始できる「OPTiM AI Camera」。手軽にAIを使った画像解析を始められます。業種に合わせて、さまざまな使い方が可能です。

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AIやIoT活用の基盤となるプラットフォームを活用

 実際にAI画像解析・映像解析を利用する場合、カメラやセンサー、必要に応じてドローンなど「モノ」に加えて、モノからの情報をインターネット経由で取得・蓄積するIoTの技術、そしてAIに関する技術が必要不可欠です。そうした際、AIやIoT活用の基盤となるプラットフォームがあれば、AI画像解析・映像解析がスムーズかつ効率的に実現できます。たとえば「OPTiM Cloud IoT OS」では、直感的かつ安全なIoT端末の管理・制御、データの蓄積・分析、クラウドサービスとの連携までを包括的にカバー。あらゆるユースケースでAI・IoTの活用が可能になります。

 このように、画像解析・映像解析はAIの登場で格段に進化し、その活用分野もあらゆる領域に拡大し続けています。新たなサービスやビジネス価値の創出にもつながりますので、今後もその動向にぜひ注目してみてください。

OPTiMについて

OPTiMは様々な業界に活用できるAI・IoTソリューションを開発しています。
自社開発のIoTプラットフォーム「OPTiM Cloud IoT OS」は、IoT端末の管理・制御、データの蓄積・分析、クラウドサービスとの連携を可能とし、あらゆるユースケースでAI・IoTの活用を可能とするプラットフォームです。
AI・IoTのビジネス活用に関するご質問がありましたら、是非お問い合わせください。